2026フジヒル道場の総括

富士ヒルクライム道場2026は、大きな怪我を出すことなく、無事に終えることができました。
まずはご参加いただいた皆さま、本当にお疲れ様でした。

それぞれ目標を達成できた方、惜しくも目標に届かなかった方がいましたが、約半年間練習を積み重ね、その成果を富士ヒルという発表会の場で出し切ったことに、大きな意味があったと思います。結果はそれぞれですが、まずは自分が取り組んできた過程と、当日の走りをしっかり受け止めていただければと思います。

今回の道場では、主に3つの柱を大切にして進めてきました。

1つ目は、練習のやり方。
2つ目は、走り方のマネジメント。
3つ目は、レースに向けてどのように準備していくか。

単に「きつい練習をする」「たくさん乗る」ということではなく、自分の身体と向き合いながら、どう積み上げ、どう整え、どう本番に持っていくかを考えながら取り組んできました。

2026年の大きな特徴として、AIの活用がありました。
参加者の中にも、AIに相談しながら「どのような練習に取り組めばよいのか」「今の状態で何を優先すべきか」を考えていた方が多かったように感じます。

そういう意味では、2026年は「ライダー・AI・先生」の3人で走っていく時代の元年だったのではないかと思います。

トレーニングメニューに関しては、科学的に何をどのように行えばよいのか、ある程度は整理されています。AIに聞けば、FTP向上、ヒルクライム対策、VO2Max、SST、L2走など、必要なメニューは一瞬で提示されます。

しかし、今回の取り組みを通じて改めて感じたのは、ヒルクライムはメニューだけでは完結しないということです。

どのようにレースをマネジメントするのか。
その練習を、今の自分の体調で本当に行ってよいのか。
フォームは崩れていないか。
疲労は抜けているのか。
気持ちは前を向いているのか。
本番で焦った時に、何を基準に走るのか。

こうした部分は、AIだけではまだ拾いきれない領域だと思います。
広く浅く、そして人間全体を見ながら支える視点が必要なのだと、今回あらためて俯瞰して捉えることができました。

トレーニングは、ひとりでもできる人はいます。
しかし、それができる人は決して多くありません。

仲間と一緒に走ること。
支え合うこと。
同じ空気感の中で自分を鼓舞すること。
誰かの工夫やコツを聞いて、自分の中に取り入れること。
それぞれの経験や知恵が混ざり合い、化学反応が起きること。

そこに、道場というコミュニティに属する意味があると感じました。

AIの登場によって、関わる側の役割も少しずつ変わりつつあります。
これからの指導者やフィッターの役割は、単にメニューを出すことではなく、その人に合うように調整し、迷った時に整理し、不安になった時に支え、必要な時には背中を押すことなのだと思います。

三ツ星フィットサービスとしては、フィッティングによって身体と自転車を合わせること。フォームを整え、走り方を作ること。そして、それぞれのライダーが持っている「秘伝の技」や「これ良かったです」という知恵を、グループの中で共有できる場を作ること。そこに、この道場の良さがあったと思います。

誰かの一言が、別の誰かの背中を押す。
誰かの成功が、別の誰かの希望になる。
誰かの失敗が、次の挑戦のヒントになる。

これこそが、富士ヒル道場の価値だと感じています。

一方で、「AIの通りにやっていたけれど、思うような成績が出なかった」というライダーも多かったのではないでしょうか。

それは、AIが間違っているということではありません。
むしろ、AIは非常に優秀です。
ただし、メニューを知っていることと、それを自分の身体に合わせて使いこなすことは別物です。

疲れている時に頑張るのか、休むのか。
体重を落とすべきか、食べて出力を戻すべきか。
目標タイムに遅れた時に、諦めるのか、目標を切り替えて走り切るのか。
当日の気温や風、体調に合わせて、どう判断するのか。

この判断の積み重ねが、ヒルクライムの結果を大きく左右します。

富士ヒルクライムは、ただの体力勝負ではありません。
練習、準備、機材、フォーム、補給、体調、気持ち、そして当日の判断力。
そのすべてが合わさって、ようやく結果につながる競技です。

2026年の富士ヒル道場は、参加者それぞれがその難しさと面白さを体験できた場だったと思います。

目標を達成できた方は、その結果をしっかり喜んでください。
届かなかった方も、ここまで積み上げてきた時間は決して無駄ではありません。
その経験は、次の挑戦に必ずつながります。

富士ヒルクライム道場2026にご参加いただき、本当にありがとうございました。
皆さまの挑戦に関われたことを、とても嬉しく思います。
また次の目標に向かって、一緒に自転車を楽しみながら進んでいきましょう。

フォームビルディングとは何か

私はこれまで2,000件以上のフィッティングを担当してきました。その中で感じていることがあります。

それは、フィッティングを受けた後に大きく成長する人と、そうでない人がいるということです。

もちろん機材の差や練習量の差もあります。しかし、長年ライダーを見てきて感じるのは、その差の多くは身体の使い方にあるということです。

フィッティングは大切です。サドルの高さや前後位置、ハンドルの位置、クリートの位置を調整し、身体に合った環境を作ります。痛みを減らし、力を出しやすくし、長時間走れる状態を作るために必要な作業です。

しかし、フィッティングだけで速くなるわけではありません。

なぜなら、自転車を進ませているのは機材ではなく人だからです。

私はフィッティングを「環境作り」だと考えています。機材と身体を合わせ、力を出しやすい環境を作る。しかし、その環境を使いこなすためには身体側の学習が必要になります。

同じポジションでも速く走れる人とそうでない人がいます。骨盤の使い方が違えば出力は変わります。股関節の動きが違えば疲労の仕方も変わります。上半身の支え方が違えば安定感も変わります。

実際にポジションを変えただけで劇的に速くなるケースはそれほど多くありません。むしろ新しいポジションに身体が慣れ、その姿勢を使いこなせるようになった時に初めて結果として現れることがほとんどです。

新しいサドル位置になれば使う筋肉も変わります。ハンドル位置が変われば上半身の支え方も変わります。最初は違和感があって当然です。しかしその違和感を乗り越え、自分の身体に新しい動きを覚えさせることでポジションは初めて意味を持ちます。

三ツ星フィットサービスでは、この過程をフォームビルディングと呼んでいます。

特別な技術を身につけることではありません。骨盤をどこで支えるのか、股関節をどのように使うのか、上半身をどのように安定させるのか、自分に合った動きを身につけることです。

近年は空力という考え方も広がり、フォームの重要性はさらに高まっています。低いフォームを作ることよりも、そのフォームで呼吸ができること、そのフォームで力が出せること、そのフォームで長時間維持できることの方が重要です。

私はフィッティングをゴールだとは考えていません。

機材を合わせることはスタート地点です。その後に身体の使い方を学び、自分のフォームを作り、その先にある速さへつなげていく。この流れがあって初めてフィッティングの価値は最大化されると考えています。

速くなる人は高価なパーツを買った人ではありません。自分の身体を理解し、自分に合ったフォームを身につけた人です。

フォームビルディングとは、フィッティングで整えた環境を本当の意味で自分の力に変えていく過程なのです。

Precision スウェットテスト第4回開催

Precision スウェットテスト第4回開催】
〜自分だけの補給戦略を見つけよう〜

昨年開催したPrecision Hydrationスウェットテスト。

「自分はこんなに塩分を失っていたのか!」
「補給の考え方が変わった!」
「夏のレースが怖くなくなった!」

など、多くの発見があったイベントとなりました。

汗に含まれる塩分濃度は人によって最大15倍も差があります。そして、その特徴は基本的に一生変わらないと言われています。

つまり、自分の汗を知ることは、自分だけの補給戦略を手に入れること。

暑い日に脚が攣る。
後半に失速する。
補給しているのにうまくいかない。

そんな悩みを抱えている方には特におすすめです。

今回はPrecision Hydrationによるスウェットテストを実施し、測定結果をもとに個別の補給アドバイスを行います。

トライアスロン、ロードバイク、ランニング、登山など、競技を問わず活用できる内容です。

【イベント内容】
・Precision Hydration スウェットテスト
・個別補給アドバイス
・電解質ドリンク試飲体験
・バイクポジション無料相談

【開催概要】
日時:7月11日
時間:8:00〜10:00
場所:三ツ星フィットスタジオ
定員:先着8名
料金:30,000円 → (団体特別価格)

テスト終了後は、希望者で多摩川沿いを軽くランニング予定です。

写真は前回開催時の様子。
競技やレベルを超えて集まった仲間たちと学び、試し、走る。そんな楽しい時間になりました。

夏本番を迎える前に、自分の身体を知り、暑さに負けない準備を始めましょう。

ご参加希望の方はDMまたはPeatixよりお問い合わせください。

なぜフィッティングだけでは速くならないのか

私はこれまで2,000件以上のフィッティングを担当してきました。ロードバイク、トライアスロン、TTバイク、マウンテンバイクまで様々なライダーを見てきましたが、その中で感じていることがあります。

それは「フィッティングだけでは速くならない」ということです。

もちろんフィッティングは重要です。サドルやハンドル、クリートの位置を調整することで、痛みの改善やペダリング効率の向上、安定感の向上が期待できます。しかし、ポジションを変えただけで急に速くなるわけではありません。

実際に同じポジションでも速く走れる人とそうでない人がいます。その違いは身体の使い方です。

骨盤をどのように使うのか。股関節をどのように動かすのか。上半身でどのように身体を支えるのか。ペダルへどのように力を伝えるのか。フィッティングによって機材と身体の環境は整いますが、その環境を使いこなすためにはフォームを作る必要があります。

私はフィッティングをゴールだとは考えていません。むしろスタート地点です。整えたポジションの中で身体の使い方を学び、練習し、少しずつ自分のフォームとして身につけていく。その過程があって初めてポジションが活きてきます。

さらに近年は空力の影響も無視できなくなっています。特にロードレースやトライアスロンでは、出した力をどれだけ速度へ変えられるかが重要です。ただ低いフォームを作れば速くなるわけではありません。呼吸が苦しくなったり、出力が落ちたり、長時間維持できなければ意味がありません。

重要なのは出力と空力のバランスです。

三ツ星フィットサービスでは、フィッティングで機材と身体を合わせ、フォームビルディングで身体の使い方を作り、エアロコーチングで出した力を速さへ変える。この3つを一つの流れとして考えています。

合わせる。作る。速さに変える。

フィッティングを受けたその日が完成ではありません。その先にある成長こそが、本当の意味でライダーを速くすると私は考えています。

フジヒル道場2026無事終了

2026年フジヒルクライム参加レポート

今年も三ツ星フィットサービスでは「フジヒル道場」を開催し、富士ヒルクライムに挑戦する皆様をサポートしてきました。

参加者それぞれが、90分切り、75分切り、そして120分以内完走といった目標を掲げ、1月から継続的にトレーニングを積み重ねてきました。ヒルクライムは単純な脚力だけではなく、日々の練習の継続、体調管理、機材の準備、そして本番で力を発揮するためのペース配分など、多くの要素が求められます。そのため道場では、単に練習メニューをこなすだけでなく、それぞれの課題や生活スタイルに合わせながら個別にアドバイスを行ってきました。

本番当日は、目標を達成できた方もいれば、あと一歩届かなかった方もいました。しかし、結果以上に価値があるのは、目標に向かって努力した過程です。練習が思うように進まなかった時期や、仕事や家庭との両立に苦労した場面、怪我や体調不良を乗り越えながらスタートラインに立った方もおり、一人ひとりに異なるドラマがありました。

今年は90分切りを目指すグループにおいて、渡邉がペーサーとして先導を担当しました。ヒルクライムでは序盤のオーバーペースが後半の失速につながるため、適切なペースで走ることが非常に重要です。参加者の様子を見ながら声をかけ、「あと少し」「ここを乗り越えれば大丈夫」と励まし続け、目標達成に向けて最後まで伴走しました。

レース途中には雨に降られる場面もありましたが、大きなトラブルなく参加者全員が無事完走。厳しいコンディションの中でも最後まで走り切った皆さんの姿はとても印象的でした。

スタート時間がカテゴリーごとに異なるため、残念ながら全員での集合写真は撮れませんでしたが、ゴール後に集まったメンバーで記念撮影を行いました。今回は三ツ星フィットサービスのイベントだけでなく、つくば耐久レースで一緒に活動しているメンバーも加わり、普段の練習会やレースを通じてつながった仲間たちと交流を深める機会にもなりました。

フジヒル道場は単にタイムを目指すための練習会ではありません。同じ目標を持つ仲間と励まし合いながら挑戦し、自分自身の成長を実感できる場でありたいと考えています。目標を達成した方は次のステージへ、達成できなかった方は来年のリベンジへ。それぞれが新たな目標を見つけるきっかけになれば嬉しく思います。

ご参加いただいた皆様、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。

来年もフジヒル道場の開催を予定しています。募集は2027年1月頃より開始予定です。初めて富士ヒルクライムに挑戦する方も、自己ベスト更新を目指す方も、一緒に目標達成に向けて取り組んでいきましょう。皆様のご参加をお待ちしております。

カペルミュールさんコラボワークショップ

このたび、サイクルウェアブランド「カペルミュール」さんとのコラボレーション企画として、ライドスキルスクールを開催しました。

今回のスクールは、速く走るためのトレーニングではなく、安全に、快適に、そして周囲と気持ちよく走るためのスキルを身につけることを目的としたワークショップ形式のスクールです。

ロードバイクやクロスバイクに乗っていると、「もっと速く走りたい」「長い距離を走れるようになりたい」という目標に意識が向きがちです。もちろん、それも自転車の楽しみ方のひとつです。

しかし、サイクリングを長く楽しんでいくためには、速さだけではなく、基本的な走行スキルや周囲への配慮もとても大切です。特にサイクリングロードでは、歩行者、ランナー、他のサイクリストなど、さまざまな方が同じ空間を利用しています。その中で安心して走るためには、自分の自転車をしっかりコントロールする技術と、ルールやマナーへの理解が欠かせません。

今回のライドスキルスクールでは、ゆっくり走る、まっすぐ走る、周囲を確認する、適切な距離感を保つといった、基本でありながらとても重要な内容を参加者の皆さんと一緒に確認しました。

一見すると簡単そうに思える「ゆっくり走る」という動作も、実はしっかりとした技術が必要です。スピードが出ている時よりも、低速で走る時の方がバランスを取るのが難しく、自転車の扱い方や体の使い方がはっきり表れます。

ふらつかずに走ること、急な動きにならないこと、周囲の状況を見ながら余裕を持って操作すること。こうした小さな技術の積み重ねが、安全で快適なサイクリングにつながります。

また、サイクリングロードを走る際のルールやマナーについても、実際の走行シーンを想定しながら共有しました。声かけのタイミング、追い越し時の配慮、集団で走る際の注意点など、知っているようで改めて確認すると気づきの多い内容だったと思います。

速く走ることだけが、自転車の上達ではありません。
安全に走れること、周りに配慮できること、そして一緒に走る人も周囲の人も安心できること。これも立派なライドスキルです。

ご参加いただいた皆さま、お疲れ様でした。
積極的に取り組んでいただき、ありがとうございました。

そして今回、コラボレーション企画としてご一緒いただいたカペルミュールさん、ありがとうございました。

今後も三ツ星フィットサービスでは、フィッティングやトレーニングだけでなく、自転車をより安全に、より楽しく続けていくための機会を作っていきたいと思います。

ライドスキルスクールは、初心者の方はもちろん、普段から自転車に乗っている方にとっても、自分の走り方を見直す良い機会になります。

これからも、安全で楽しい自転車時間を一緒に作っていきましょう。